交通事故にあったら

ホーム写真

はじめての示談


交通事故に遭うと必ず行わなければならないのが示談です。

示談とは、交通事故などが発生したときに、当事者同士(加害者と被害者の両方)が話し合いをして、損害賠償額や支払い方法などの内容を決めて解決を行うことです。

示談では加害者が被害者に対して損害賠償金の支払いを約束します。
そして被害者がそのお金を受け取ることで、これ以上の損害賠償を加害者に一切請求しませんと約束をします。これが示談です。

示談交渉は誰がするの?
示談交渉は自分で行っても構いません。
ですが、あなたが自動車保険に加入している場合は、あなたの代わりに保険会社の担当者が行ってくれます。これはあなたが被害者の立場でも加害者の立場でも同じです。
しかし、注意しなければならないのは、加害者側に全過失がある事故では被害者側の保険会社は交渉できません。

この場合はあなた自身が加害者やその保険会社と交渉をするか、弁護士などの専門家にお願いして和解することになります。そしてこの話し合いで賠償額が決定されるわけですが、とても重要な話し合いなので慎重に行わなければなりません。この話し合いでまとまた内容を記した書類のことを示談書といいます。
まだ治療が終わっていないのに示談書に捺印してしまうと、後々困ることになるので注意しましょう。

示談金は誰が決めるの?
お互いが話し合いをして納得すれば、民法の和解契約(民法695~696条)に当たるので、示談金(損害場賞金)の額は自由に決めることができます。
しかし、注意しなければなりません。

もし本来受け取ることができる額よりも低い額を提示されているのに、被害者が無知で安易に示談書に捺印してしまうと、その額しかもらえなくなってしまいます。

示談書には法的効力はあるの?
あります。
しかし注意しなければならないのは次のようなケースがあります。
加害者が無保険であったり、自動車保険に加入していても治療費が補償額の上限を超えてしまった場合などは全額または残りの額を加害者本人が賠償しなければなりません。
もし、加害者が損害賠償金を払ってくれないといった場合は、示談書をもとに相手の資産を差し押さえなければなりませんが、この場合は裁判を起こす必要があります。
ですが、これでは大変なので、このような場合は示談書ではなく、裁判を起こさずに資産を差し押さえられるような公正証書で作成しておくと安心だと思います。

示談はいつから始めればいいの?
被害者が亡くなった場合は、いつ始めても問題ありません。

一方、障害事故の場合は慎重に始める必要があります。なぜなら、治療が終わっているないのに示談書に捺印してしまうと治療費を払ってもらえなくなることがあるからです。
示談書はこのお金ですべて忘れましょうという意味の書類なので、示談をしてしまうと治療費を打ち切られても文句が言えません。
示談書に捺印するのは、治療が終わって、後遺障害等級の認定なども済んだ後に始めるのが最善だと思います。
ただし、治療が長引く場合は損害賠償権の事項に注意しなければなりません。
・自賠責保険の損害賠償請求権:2年
・民法の損害賠償請求権:3年
この期限に注意して損害賠償請求を行うようにしましょう。

なぜ保険会社や加害者は示談を急がせるのか?
一般的に加害者や加害者側の保険会社は示談を急かしてくることが多いです。このとき彼らはこのようなことを言ってきます。

・あなたもいつまでも問題を抱えていたら大変でしょう。示談にして早く終わりにしましょう。

交通事故で大けがをして身体のことや、今後の仕事や生活のことが不安で仕方ない日々を送り、精神的にも参っている状況でこのようなことを言われると、あなたは相手の言葉に優しさと思いやりを感じると思います。
何もわかっていないあなたは、その言葉を受け入れて治療も終わっていないのに示談書に捺印してしまいます。
これは大きな間違いです。
加害者側が示談を急かすのには理由があります。
相手が示談を急ぐ理由の一つに、刑事責任に問われていることがあげれられます。事故を起こした加害者は、いろいろな法律上の責任を負うことになります。その一つが刑事責任です。
もし、示談が成立していれば、この刑が軽くなることがあります。
検察で取り調べを受ける段階で示談が成立していれば起訴猶予、あるいは略式罰金で防げるケースもありますし、裁判の段階で示談が成立していたら情状酌量されて執行猶予がつきます。
また、早く示談が成立すれば払わなければならない費用も少なくて済みます。
加害者側はこうした点も考慮して誠意のあるような態度を見せることで示談を迫ってくることがあります。
本当に心配するような優しさがあるのであれば、時間がかかってもしっかりと治療を受けさせて怪我を治してもらい、これまでの生活にできるだけ近い形にまで戻れるような対応をとるはずです。
あなたのとるべきことは、あなた自身の利益を考え上に流されず、冷静に対処することだと思います。

示談に時効はあるのか?
あります。治療が長引いているときは時効に注意しなければなりません。
民法では、被害者からの損害賠償請求権は、事故日かあら起算して3年で時効になります。
相手に損害賠償を請求するのであれば事故のあった日から3年以内に行う必要があるわけです。(ひき逃げされて被害者がわからない場合は20年となります。)

自賠責保険の保険請求権は原則として事故翌日から2年で時効になります。

もしあなたが自賠責保険に対して保険金を請求するのであれば、事故の翌日から2年以内に請求しなければならないということですね。

ただし、これらの時効の起算日には、
・後遺障害に対する部分
・怪我に対する部分
・死亡した場合

によって違うので注意しましょう。

1・後遺障害に対する部分
腕が動かない、足が動かないなどの後遺障害が残った場合、症状固定日の翌日が起算日となります。症状固定日というのは、これ以上治療しても症状の改善が見込めないと診断された日のことです。もし事故の起きた日から3カ月後に症状固定となった場合は、その日を起点とします。

2・怪我に対する部分
骨折などの怪我に対する部分については、事故が起きた日を起点として日数を数えることになります。そのため、治療期間が長引いたときは交渉期間は短くなってしまうので注意しましょう。交渉時間が足りない場合は、時効の中断をしておくと安心です。

3・死亡した場合
死亡した場合は、死亡日の翌日を起点として日数を数えます。

示談書はどのように書くの?

示談書の形式に決まりはありませんが、下記の内容は必ず記載しましょう。

・事故発生日時・事故発生場所・所領所有者の氏名・運転者の氏名・車両番号

名前は「甲が○○」、「乙が○○」と書きます。一般的に過失割合の高い方甲欄に記載します。

・示談内容・支払い方法

これは示談内容を示すものなので、「誰が誰に対して」「損害賠償として」「いくら」「どこに、どのように支払う」のかをはっきり記載します。

・示談書の作成日・当事者双方の署名・捺印

車両の持ち主と運転していた人が違うときは両方の署名と捺印が必要です。当事者が複数の場合は全員のサインと捺印をもらいましょう。

かいしゃが関係しているときは、会社のゴム印と社員ももらいます。相手が未成年者の間合いは、両親がサインと捺印をします。

記入を間違えたときは横線(=)を引いて訂正します。その際、示談書に使用する印鑑と同一の印鑑で、当事者双方の訂正印が必要なので注意してください。

上記以外に注意すべきことは?
・権利放棄条項
・権利留保条項
を確認して記載するという点です。

権利放棄条項とは?
示談書には「今後この件については一切請求しません」という権利放棄条項を記載するのが一般的です。

権利留保条項とは?
今はわからないが、あとで後遺障害が残るかもしれないといった場合は、今後のために「もし今後、後遺障害が生じたときは改めて協議する」という権利留保条項を示談書の中に入れておくようにします。将来的な可能性もきちんと考
慮して、全ての損害を把握した上での示談なのかを必ず確認するようにしましょう。ちなみにここでいう後遺障害とは、「示談当時予見できなかった後遺障害」をさします。

加害者が未成年の場合は?
示談の相手が未成年者の場合は、法律上の行為能力者ではないので示談ができません。仮に示談をしても無効であると取り消される可能性があります。
このような場合は加害者本人の親権者や後見人と示談をするようにします。
未成年の親権者と示談を結託する際は、親権者すべて(父母両方)の記名と捺印が必要なので注意しましょう。

示談内容を確実に履行させるには?
損害賠償金は示談が成立したときに全額を受け取れるのが一番です。
しかし、場合によっては後日払いや分割払いになってしまうこともあります。
この場合は示談内容を確実に実行してもらう必要があるのですが、どうしても不安が残ります。
そこで、示談がまとまった際に、以下のような処置を取っておくと良いかもしれません。

1.違約条項を入れる
2.違約金条項をいれる
3.連帯保証人をつけさせる
4.裁判なしで強制執行できるようにする

.違約条項を入れる
示談書の中に、「約束を守らなかったら日割り計算で加算金をとる」「1回でも支払いを怠ったら残額は一時払いにする」
といった過怠約款(かたいやっかん)という違約条約をいれておきましょう。
.違約金条項をいれる
「1回でも支払いを怠った場合は、違約金○○万円を示談金○○万円に付加して支払う」
という内容を入れておくようにします。違約金は示談金の20%程度が妥当のようです。
.連帯保証人をつけさせる
相手の親族や知人などで、資力がある人を連帯保証人としてつけさせます。こうすることで万が一の時も確実に賠償金を受け取れるようにしておきます。
.裁判をしなくても強制執行ができるようにしておく
これを可能にするには、以下の二つの方法があります。
・即決和解
・公正証書

即決和解では相手方の住所を管轄する簡易裁判所に和解を申し立てて、和解調書を作ってもらいます。手続きも簡単で費用も安く済むので便利な方法です。
公正証書は、当事者双方で公証人役場に行き、公正証書をつくってもらいます。
公正証書には、「債務不履行のときは、すぐに強制執行を受けても異議はない」という強制執行承諾条項を入れておきましょう。
ちなみに、通常の示談書は「私製証書」「私署証書」と呼ばれる私文書です。
そのため相手が約束を守らなかったときにすぐ相手方の財産を差し押さえるといった強制執行の力はありません。
ですから、示談書を証拠書類として裁判を起こし、判決を貰ってからでないと、相手の財産を差し押さえることが出来ないわけです。
しかし、示談書を公正証書にしておくことで、約束が守られない場合は裁判をせずに、ただちに相手方の財産を競売することができ、執行力をもたせることができます。
特に、相手が無保険の場合は回収できないリスクも大きくなりますから、示談書を公正証書にしておくと手間が省けて安心です。

これをしておけば、財産の没収、資産の競売、丘陵の差し押さえなどを裁判をせずに実行できるようになります。
公正証書は重要な書類になるので、作成する際は専門家に依頼すると安心だと思います。

示談の話がまとまらない場合は?
加害者や相手方の保険会社との話し合いがこじれて、なかなか賠償に応じてくれないときは、弁護士に相談すると良いかもしれません。
自分で行うよりも、最初から弁護士に頼んだほうが示談の金額も上がりますし、余計な不安やストレスを抱えることもないと思います。

損害賠償の基準

  1. 自賠責基準
  2. 任意保険基準

.裁判基準(弁護士基準

・あなた自身が交渉する場合は「自賠責基準」
・保険会社同士が交渉したら「任意保険基準」
・弁護士が交渉したら「裁判基準」
になります。

自賠責基準と裁判基準の金額の違いを一番軽いとされる後遺障害14級でひかくすると下記のようになります。
・自賠責基準:320,000
・裁判基準:1,100,000

実際にはこれだけの差があります。
これを知ったあなたは裁判基準で示談をしたいと思うかもしれません。
ですが、どんなに勉強して、どんなに法的攻防能力をつけても「弁護士に依頼します」と言わない限り、加害者の保険会社は裁判基準にはしてくれません。
なぜなら、裁判などの強制力を伴う手続きを取らない限り、法的に正しい賠償を任意に行う義務は保険会社にはないからです。
ですので弁護士に委任して、裁判解決を前提とした対応を取って、はじめて保険会社も「裁判基準」での金額を考慮してくれます。
別の言い方をすれば、裁判を前提としない限り、相手は裁判基準では考慮してくれません。(保険会社の担当者同士の交渉でも任意保険基準です)
正当な賠償額の話し合いを行うためには、弁護士に委任することが必要不可欠たということがわかると思います。
ちなみに、裁判と言っても「裁判を前提とする」のであって、実際に裁判をすることは多くないようです。
毎年、膨大な数の交通事故が起きているので、過去の判例をもとに大体こんな採決になるということがわかります。弁護士さんはこれをもとに「裁判をするとこんな感じになりますよ。実際にあらそうとこれくらい費用が掛かりますよ。だったら、この費用を賠償金として支払ったほうがよろしいのでは?」
といった具合に相手の保険会社と交渉をしてくれます。ほとんどの場合は、これで話がまとまって終わるようです。「裁判を前提とする」というのがポイントになります。
治療しても「しびれ」や「痛み」などが取れないという人や、後遺障害が残るかもしれないという人は尚更です。
一度、示談が成立してしまうと、後で痛みが出ても請求することはできません。
ですので、まずは弁護士に相談をして、今後どのように煤えるべきかを専門家の意見を聞いたうえで考慮することが大切だと思います。

交通事故までの解決は大変な労力と時間を要します。怪我をされた場合は、肉体的、精神的にもとても辛いと思います。
ですが、困難な状況に負けずに前に進むことが大切です。あきらめたらそこで終わってしまいます。

 

交通事故治療TOP交通事故にあったら治療の流れ交通事故によくある症状交通事故Q&A交通事故の保険とは

交通事故専門用語集交通事故法的責任交通事故示談金

copyright 2016 よつば整骨院 Allrights reserved.